大阪・道頓堀と言えば東京発のメディアに喧伝される「コテコテ大阪像」を具現化したベタな観光地になっていてどうにも食傷気味なのだが、道頓堀商店街の一角、太左衛門橋前に昭和47(1972)年から店を構えていた「大たこ」はこの界隈の風物詩としては老舗の領域にあたるものだ。いつも観光客が行列しまくっている超有名店な訳だが、この大たこの他に二軒ほど屋台が並んでいる場所が元から大阪市有地で「不法占拠」していた土地だった。だが大たこは2006年に「時効取得」を根拠に所有権の移転登記を求め大阪市を提訴。だが翌年に逆に大阪市に反訴され、大阪地裁の判決で大たこの「不法占拠」を認め、その後大たこ側は最高裁に上告するも却下、過去の土地使用料と明け渡しを求められるに至った。
2010年12月時点で大たこの不法占拠屋台は自主撤去となり向かいの店舗に引っ越して営業継続している。残った屋台も全部撤去され、現在市有地は緑色のフェンスで囲まれ新たな占拠を防いでおりかつての面影はない。道頓堀でたこ焼きを食べるという事は観光客くらいしかやるものではないので食べた事は一度か二度しか無かった覚えがありますが、道頓堀において誰もが知る名物店にかつてこんな過去があった事くらいは無邪気な観光客も知っておいて貰いたいものである。たこ焼きだけではなく不法占拠も大阪の名物です。
