江戸時代より関東最大の遊郭として君臨した「吉原」の地も、昭和33(1958)年の赤線廃止によってその存在は表の歴史からかき消された。しかし吉原の町は台東区千束四丁目と名を改めても、関東屈指の遊興街として平成の世の今でも名を轟かせている。
遊郭だった頃の風情は殆ど無くなっているが、遊郭時代の碁盤目状の街路はそのまま残されており、特にその北半分側、メインストリートの「中之町通り」、旧町名の江戸町、京町付近を中心に賑やかな店舗が連なる。もちろん都内最大級の規模で、店舗数は高級店から妖怪屋敷まで優に100軒を超える。よく分からない喫茶店がやたらめったら多いのが特徴でもあり、遊郭地の外れにある銭湯はわざわざ看板に「普通公衆浴場」と断り書きを入れている程だ。
見返り柳のある吉原大門交差点からかつて衣紋坂と呼ばれていた入口付近は今でも遊郭の名残りとして「外から見渡せない」ようにわざと道が曲げられているのが見られる。また戦後の赤線時代に建てられたカフェー建築がアパートとして一部残されている箇所もある。
