新世界国際劇場

大阪市浪速区

大阪新世界・通天閣の足元に広がるのはめっきり観光客向けの串カツ屋だらけになったが、本来は労働者の娯楽拠点だった街で、現在の新世界でもコアな映画館や大衆演劇場が残っている一角が通天閣の東側に残っている。特に存在感が凄まじいのが昭和5(1930)年竣工のモダン建築の佇まいを残す「新世界国際劇場」だ。当初は大衆演劇「南陽演舞場」として開かれたが新世界一帯が空襲で壊滅してもこの建物だけは奇跡的に被害を免れた。戦後に現在の映画館となり、以後この地で生き続けている昭和遺産的存在。内部は地上階と「地下劇場」の2つに分かれていて、地下劇場の方は新世界の裏名所として特定層には名高い魔窟の地。素人は立ち入ってはならない。

今では滅多にお目に掛かれなくなった職人による手描きの映画看板の数々もこの場所では見る事ができる。成人映画の看板までことごとく職人がせっせと手描きで作っているのだから恐れ入る。いまや看板職人も絶滅危惧種である。なお新世界にはもう一軒「公楽劇場」というのもあったが、こちらは2006年3月末日で閉館、現在は解体されて跡形も無くなっている。

浪速区 新世界

浪速区 新世界

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