平成の大合併で糸魚川市の一部となっている旧能生町の東端部に位置する筒石集落と言えば、北陸本線(現・えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)の地底駅がもっぱら有名で鉄道マニアも珍スポ愛好家もこぞって見に行くような場所だが、一方で山の麓にへばりつくように連なる筒石集落の存在は見落とされがち。街並み的にもかなり見応えがある漁村集落で、山と日本海と国道8号に挟まれた細長く狭い土地を縫うように形成された集落の家屋はその大半が木造三階建て。限られた土地を最大限に有効活用したらこんな形になったという典型例である。
国道8号に並行する集落のメインストリートは軽自動車が通行できるのがやっとの道幅しかなく、山側の家々も急斜面上に無理くり建てられ裏側を走る道路から見ると平屋建てと見間違えるが実は三階建て家屋の三階部分だったりする。その家々の隙間を走る階段の路地も情緒深い。家の屋根瓦が富山県でよく見かける黒い瓦のものが多く、ここいら一帯文化圏的にはあまり新潟な感じがしない。