越前大仏

勝山市

福井県奥越地方に属する勝山市と言えば福井県立恐竜博物館が有名な場所だが、一方で半ば見捨てられたかのように残るバブル遺産が存在する。それが「越前大仏」だ。バブル真っ只中の昭和62(1987)年に、勝山市出身で大阪でタクシー会社「相互タクシー」を経営していた実業家・多田清氏が約380億円もの資金を叩いて建設した寺院なのである。正式名称「大師山清大寺」。広大な面積を誇る境内は観光客もまばらで、立派な五重塔や巨大な大仏殿、その中に鎮座する「奈良の大仏」を超える大きさの大仏像も心なしか淋しげだ。

一方で寺の門前町として整備された商店街は軒並みシャッター通りで、以前は食堂や土産物屋などが入っていたのが現在ではほぼ廃屋状態。「関西のタクシー王」の異名で呼ばれた多田氏は故郷に錦を飾るつもりだったが巨大なバブル遺産を残し、管理費が払えず倒産した当初のタクシー会社に変わって、現在は勝山市が施設を維持管理している。なお、近くにある「勝山城」も多田氏が建てたもので、内部は博物館になっている。

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