成田国際空港に直結する鉄道駅は現在JR東日本と京成電鉄が乗り入れる空港第2ビル駅と成田空港駅の2つ。しかし1991年に両駅が開業する前までは、今の京成「東成田駅」が旧成田空港駅として昭和53（1978）年に開業している。この東成田駅は空港勤務などの関係者といったごく一部の利用者があるのみで、四半世紀前に役割を終えた旧成田空港駅時代の設備がそのまんま残っており見た目にも「生ける廃墟駅」と呼べるような状況となっている。さらにホームに降りると壁の広告が1990年代のものがそのままになっている辺りもタイムトリップ感満載でゾクゾクする。
それでも改札にはきっちり駅員もいるし、頻繁に警察官の見回りもある。駅構内は大部分が閉鎖されたままになっているが、現役の空港第2ビル駅への長い長い連絡通路もあり片道10分強で往来が可能。なお、地上から成田空港第1ターミナルビルに向かうには一旦地上に出て検問を受けてから片道15分程歩く事になる。
それでもこの駅が廃止されないのは、未だに空港勤務者の利用がそれなりにある事に加えて、東成田駅から先に続いている第三セクター「芝山鉄道」の存在があるからだ。地元住民への成田空港建設の見返りに置かれたのがこの芝山鉄道で、東成田～芝山千代田までのごく僅かな区間が同社の路線になっている。電車が来るのは40分に1本ペースという低頻度だ。
