新潟県糸魚川市(旧能生町)にある筒石駅は、群馬県みなかみ町にある上越本線土合駅と並ぶ「地底駅」として知られる珍駅マニア垂涎の地の一つとしてよく知られている。駅舎は集落から800メートル坂道を登ったところにあり、駅のホームはそこから40メートル下った「頸城トンネル」の中に存在している。直江津方面は290段、糸魚川方面は280段の階段を延々と降りて行く事になる。
この頸城トンネルは総延長11.3キロメートルもある超大トンネルの一つで、地滑り災害の多い特殊な地盤への対策としてこのようなトンネルにせざるを得なかったという事情があり、トンネルが完成した昭和44(1969)年10月1日から今のような地底駅となった。
夏でも駅ホーム付近は18度前後の温度に保たれていて避暑には最適。しかし特急電車の通過の度に風圧の関係でホーム上が危険な状態になるので、ホームの手前の待合室との間に風除け用のごつい引き戸が設けられている。こう見えても無人駅ではなく安全対策として委託駅員が常駐し、電車到着の時間毎にこまめに地下に昇り降りしている。
元々ここがJR北陸本線だった頃は委託駅員が5人交替で24時間体制で管理していたものが、2015年3月の北陸新幹線開通後は三セクに移管、「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」という、なんとも間抜けでゆとりネーミング全開の路線名に変わり、委託駅員も1人だけになってしまっている。こう見えても筒石集落の住民を中心に利用者がいる。三セク化で安全は保たれるのか、今後が気になりますな。