戸田マスジド

戸田競艇場・戸田漕艇場の北側を東西に走る「オリンピック通り」はなんともインダストリアルな香り漂う東京の外れの倉庫街。道沿いにはドカチン親父御用達の大衆食堂や「山田うどん食堂」「ワークマン」なんかが立ち並びブルーカラー層と大型トラックが頻繁に行き来する道路となっているが、そんなオリンピック通り沿いにそびえる一見荒れ果てたスクワットビルのような佇まいをしているこちらのマンションとも町工場ともつかない建物。

ここが「戸田マスジド」（マディナ・マスジド戸田 / Madina Masjid Toda）と呼ばれるムスリムのモスクであり、実は埼玉県戸田市という街は工場勤務を収入の糧に暮らす出稼ぎパキスタン人が数多く住んでいる。日本にいるパキスタン人の1割が埼玉県内に居住していて、このモスクが彼らの心の拠り所となっているらしい。建物の周りにも何人かの外国人がたむろしているのが見られるが、そんな異質な風景に向かい合う「ゆで太郎」のロードサイド店舗はドカチンのおっちゃん達で満員御礼となっており、倉庫街と競艇場と肉体労働者と外国人の街・戸田市ならではの日常風景を作り出している。