東京スカイツリーがぶっ建てられ、駅名まで「業平橋」から「とうきょうスカイツリー」に変わってしまい超一流観光地に変貌した業平橋界隈。しかしこんな場所にこそ土着食堂は健在で、駅北側の三叉路の角にひっそり店を構える大衆食堂兼酒場「きくや」は時代の流れを拒絶するかのようにこの土地に居座る。ここは普通の大衆食堂などではない。夜中の2時頃に店を開けて、その日の昼くらいまでに店を閉める。昼過ぎに来ても入店不可能。観光客など端からアテにはしていない。この店に通う常連客の多くは一仕事終えたタクシードライバー達だ。
朝呑み覚悟で店内に雪崩れ込むと、昭和そのまんま過ぎる土着的な内装がたまらん。備え付けの団扇には「角海老楼」の屋号が描かれた美人画…センスが凄い…そんな唯一無二な空間で名物の自家製カレーをつまみに「牛乳ハイ」で一杯やる。スカイツリーの足元にあった穴場中の穴場なせんべろ酒場だった。ちなみに、建物の二階はアパート「キクヤ荘」になっている。どんな住民が暮らしているのだろうか。