大阪市内南部と泉州・南河内・和歌山を結ぶ私鉄「南海電鉄」の路線図を見ると岸里玉出駅から難波方面に行く南海本線・高野線とは別に都心方向に盲腸のように伸びて中途半端に止まっている路線がある。これが南海汐見橋線。その終点にあるのが汐見橋駅で、明治33(1900)年から開業している古い駅だが現在まで盲腸線の終端駅としてしか機能しておらず、目の前に地下鉄千日前線と阪神なんば線の桜川駅があるにも関わらず乗り換え駅の役割も果たさず、昭和31(1956)年に改築された駅舎がそのままの姿で残っているという化石のような存在の駅なのだ。
駅改札は自動化されているものの、改札口の真上にある巨大な南海沿線観光案内図はすっかり経年劣化で崩落が酷く注意書きには「この案内図は昭和30年代のものです」と断り書きがあって笑える。現在も1時間2本しか電車が出ておらず1日の利用者数は500人程度にしかならないが、それでも廃止しないのには将来的に計画されている当駅から新大阪方面を結ぶ「なにわ筋線」の存在があるからだろう。ともかく存在自体が奇跡みたいな駅だ。