東武野田線岩槻駅前の商店街を見ると、あちらこちらに人形屋がひしめいていて、さすが人形のまち岩槻ですねと感心するばかりだが、商店街自体はというとモータリゼーションの影響で寂れっぷりがなかなか酷い事になっていて、人通りもまばらだ。そんな寂しい商店街の中にある「岩槻名店街」がこれまた異様な雰囲気を放っている。
二階建てでウナギの寝床状になった岩槻名店街、よく見ると撤退した店舗だらけで、ピエリ守山もびっくりのガラガラっぷり。おまけに入口には岩槻名店街加盟店、それに管理会社双方の主張が書かれた看板がこれ見よがしに置かれ、管理会社側は「建物老朽化のため通行禁止」と、かたや名店街側は「営業妨害の目的で設置した違法看板だ」と真っ向から食い違う主張。この看板だけでもかなり異様である。
現在は一階部分に居酒屋・スナックが数軒、二階にも同様にスナックが数軒細々と商売を営んでいるだけで、入口の旅行会社なんか15年位前の藤原紀香がモデルになっているJALの広告ポスターをそのままに撤退しているし、他の店舗もおおよそ15年前までには撤退済みの模様。岩槻名店街は香ばしさ満点の生ける廃墟商店街だった…「楽しい買物の散歩道」と書かれた入口の看板も何やら虚しく見える。
実は関東一円に勢力を広げる一大中華チェーン店「日高屋」創業の地がこの岩槻名店街の二階にあった店舗「来来軒」だったとされる。しかし場所が悪いせいで長く続かず閉店、その後盛り場である大宮北銀座に場所を移して再開するや店が繁盛するに至った、という。そんな記念すべき日高屋創業の地である岩槻名店街も残念ながら2015年10月の時点で建物の解体を確認。更地になってしまった。