相鉄線西横浜駅から近い横浜市西区南浅間町にあったかつての赤線跡「新天地カフェー街」の痕跡を探しに現地を訪れた。昭和8(1933)年に設置された新天地遊郭がその前身で、それも空襲によって壊滅し、戦後RAA、特殊慰安施設協会によって置かれた進駐軍向けのカフェー街が一時期隆盛を誇ったとされる場所である。その生々しい土地の歴史を残すものが国道16号(八王子街道)が帷子川の上を跨ぐ尾張屋橋近くにあるこの小さな神社。
神社の玉垣には「新天地カフエー組合」とはっきり書かれている上に当時の特殊飲食店の屋号も多数見かけられる。売防法施行後には完全に色街としての役目も終えているが、南浅間町や洪福寺交差点周辺に古いスナック街や市場の成れの果てとなった建物が点在するあたりに歴史を匂わせる。そして現存する「旅荘笹本」は見た目の元連れ込み風味な所も気になるが、やはりここも転業旅館として今に残っている旅館だ。
今となっては寂れた感じの強い一帯だが、近くにハマのアメ横の異名を持つ「洪福寺松原商店街」がある通り、東海道と八王子街道が交わる古くからの交通の要衝でもあった場所だ。