物件情報
全国各地に残る、戦後の在日コリアンを巡る不法占拠問題で最も良く知られる場所「ウトロ」。同じウトロでも知床の秘境にあるものとは違い、こちらは京都府宇治市伊勢田町にある地区の事。元々の「宇土口」の地名がいつの間にか「ウトロ」と誤読されたのが地名の由来。
陸上自衛隊大久保駐屯地の北隣にあり、地区の南側一帯が在日コリアン集住地区となっている。戦時中の飛行機工場の労働者として集められた在日朝鮮人の飯場が起源だが、戦後になっても帰らず、同地に不法占拠状態で暮らし続けていた中で地主と日本政府を相手取り居住権を認める闘争を起こしてきた場所として有名だ。しかしかなり前から街のゴーストタウン化が進んでいて、住民はくたびれた老人ばかりで古びたあばら家のような民家が残っているばかりになっている。ハングルと日本語で書かれた香ばしい看板群は長年街のシンボルになっており、地区の中心には「南山城同胞生活総合センター」などが入居する「エルファ」という、地域の公民館的な建物がある。
長年続いた土地問題のゴタゴタは伊丹中村地区と同じく「市営住宅の建設」という手段で解決する方向で決まり、2018年1月になって地区の南東部に建設された五階建ての市営住宅一棟が完成し、ウトロ住民の入居が始まっている。後にもう一棟建てられる予定である。
物件写真:2017年6月
ウトロ地区おなじみの「オモニのうた」看板
実際の住民は高齢者ばかりである
「ウトロは在日のふるさと」看板も健在
「エルファ」前の広場。清掃車などが停まっている
飯場時代の古い建物も多く残る
廃墟だらけで雑草が生い茂る路地だが住民の生活道路である
ウトロ51番地、人口は約60世帯150人
大昔のヤンキーが残していった落書き
絶賛建設中、ウトロの市営住宅(2018年1月完成)