入船カフェー街

横浜市鶴見区

京浜工業地帯の中にあり工場労働者の街として栄えた横浜市鶴見区に戦後勃興した青線、カフェー街が存在していた。鶴見駅から鶴見川を跨いだ先の本町通商店街を過ぎたあたりのすぐ真裏の路地という余所者には分かりづらい立地で、間違いなく地元の労働者の相手しかして無かったであろうローカル臭漂う色街の残骸が、まだ結構な形で残っているのである。

それも特徴的なカフェー建築がそのまま住居に転用されていたり、既に廃墟化して建物全体が崩落寸前になったスナック街まである。高度経済成長期には大勢の働く男達がこの場に「癒やし」を求めてやってきたのだろう。昭和38(1963)年の売防法施行以後に廃れたには違いないのだろうが、半世紀以上経っても生々しさが残る。街自体の新陳代謝が止まってしまったような場所である故の事だろうか。