世田谷区深沢三丁目、暗渠化した旧呑川緑道に隣接した低地に、明らかに周囲の一軒家と比べても小粒な古い木造家屋ばかりが密集する碁盤目状の街区がある。そこがエーダンモール深沢という名前の商店街で、足を踏み入れると殆ど寂れるに任せる状態の下町的なスーパーや個人商店が残っているだけの枯れた街並みが広がっている。
戦後この土地は家を失った戦災者が集まる共同住宅が立ち並んでいた場所で、この共同住宅を建設したのが当時の「住宅営団」だった。住宅営団は同潤会アパートでも有名な同潤会の後継団体でもあるが、戦後に解散してしまい事業は東京都が受け継いでいる。
その後戦災者住宅は取り壊され跡地には一軒家や店舗が立ち並ぶ現在の状態になったようだが、エーダンモールの名称の「エーダン」は営団地下鉄ではなく住宅営団で、そもそも地下鉄も来るような土地ではない事だけは確か。おまけにどの駅からも遠い鉄道空白地域だ。