筑波軒

筑西市

茨城県筑西市、かつては下館市と呼ばれていたが市町村合併で市名からその名が消され、今となっては栃木県小山から水戸に抜けるJR水戸線の途中駅で余所者が見れば何があるのかよく分からないJR下館駅周辺には「下館ラーメン」と地元では呼んでいる、濃い醤油ダレと鶏チャーシューが特徴のご当地ラーメンを出す中華料理店が数多くあるらしい。その中でもJR下館駅から僅か徒歩2分の所にとんでもない激渋過ぎる外観の「筑波軒」というラーメン屋がある。

控えめに「営業中」の札が掛かっているだけで暖簾も吊るしていない、なんとも入りづらい外観の店だが意を決して中に入ると、近所のガラガラモールもとい「下館スピカ」にある市役所分庁舎から来たと思しきスーツ姿の公務員風の若者とジャージ姿にスポーツ新聞を広げて読むいかにも茨城県民ですねといった身なりのオヤジが常連客っぽさ丸出しでカウンター席に座っている。客層は男率ほぼ100%…そして店内のレトロを通り越してこれは昭和遺産だろう的な年代物のパイプ椅子とテーブルが整然と並べられただけで必要最低限ながらもちゃんと全部のテーブルにアルミの灰皿が置いてあるというリアル昭和仕様。

ちょっとガラの悪そうな顔付きだがお節介焼きなマスターのオヤジがカウンターの向こうから「そんな端っこの席に座らなくても」と言いながら注文を聞いてくる。普通の中華そば(450円)を頼むとチャチャっと作ってくれたのがこの一杯の中華そばである。濃い醤油ダシに太縮れ麺、メンマとなるとと三角形の海苔、といった王道的なトッピングに加え、鶏チャーシューではなく鶏の醤油煮が乗っている。店構え同様、味も今時の洗練されたそれではない、なんとも味わい深い昭和の中華そばとしか言えませんが、旨かったですよ。恐らく今中年オヤジ真っ盛りな方々が「昔は近所にこういうラーメン屋あったよね」と言いそうな、そんな街のラーメン屋である。

そう言えば下館って何で栄えたかというと、昔は「関東の大阪」と言われていた程の商人の街で、下館商人と呼ばれていた豪商の蔵屋敷が街中に今もゴロゴロ残っている。それに昔の人が履いていた足袋の底織の一大生産地だったという事らしいです。そりゃあ今の世代にはピンと来んですが、下館駅にはJR水戸線だけでなく関東鉄道や真岡鐵道の終着駅もあって、鉄道交通の要衝でもあった訳だ。

筑西市 下館

筑西市 下館

筑西市 下館

筑西市 下館

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