映画「男はつらいよ」の舞台でもはや説明の必要もないほど有名な柴又帝釈天の門前にある京成柴又駅前には、スーツケースを片手にした車寅次郎像が凛々しく突っ立っている。この銅像は男はつらいよシリーズ全48作を世に放った渥美清の死後、シリーズが終了した事をきっかけに建立したものだ。「柴又と言えば車寅次郎」を体現している。
東京都区内とは言えどもさすがに23区最果ての地ということもあって駅前は非常に穏やかな下町風景が広がっており、観光客向けの店が帝釈天参道沿いに並んではいるが、浅草寺のように人でごったがえすということはない。いつ来ても東京らしさが皆無な長閑な街である。
車寅次郎像が立つ駅前の広場を見渡すと、やたらとレトロな佇まいのうどん屋や今川焼と焼きそばの店、それに激渋な佇まいの酒場やコーヒースタンドまであって、わざわざデカデカと「煙草吸えます」と書かれていたりするのが土地柄である。