千葉県習志野市に銭湯マニア垂涎の地などと言われる「鷺沼温泉」という場所がある。京成津田沼駅からも結構離れた国道14号（千葉街道）沿いにある銭湯だが、昭和8（1933）年の創業時から80年以上同じ建物で営業しているという伝説的な激渋レトロ銭湯として知られている。「温泉」と銘打たれている通り、風呂の湯は沸かし湯ではなく黒湯に近い色の温泉を加温したもの。「千葉県第1号ラジウム鉱泉」の表記もある。
2001年に元のオーナーが廃業の意向を示していた所、その友人である現オーナーが経営を引き継いで廃業を免れて現在まで営業が続いている。いつも番台に座っているおばちゃんは韓国人らしく、テレビで韓国ドラマを見ていたり、飲料等が入った冷蔵庫に韓国のドリンクやキムチ等が売られていたりする点もマニアックである。
源泉を加温した浴槽は片方が45度、もう片方が49度と相当熱い。湯もみ用の板が備え付けられていたり、足し水も可能だが、勝手が分からない今時の人間は「激アツ」なカルチャーショックにむせび泣く事だろう。脱衣場もロッカーが無く籐かごにそのまま脱いだ服を載せるあたり完全に今時のスタイルではなく利用者を選ぶ感はあるが、絶滅危惧種の伝説のレトロ銭湯として名高い鷺沼温泉は未だもって地元の常連客や銭湯マニアに支えられている感じがする。
