城下町と骨付鳥で有名な香川県丸亀市の玄関口であるJR丸亀駅の裏手一帯にはかつて福島町遊郭という遊郭跡もあった場所なのだが、その一角に鎮座する「一寸島神社」がちょっと尋常ではない佇まいを見せている。
のっけから神社真正面入口の参道の両側にびっしりとバラック家屋が覆っているのだ。しかもバラックの一部が神社の鳥居にめり込んだ形となっており、何とも言えない戦後のドサクサ感が漂う。
神社の拝殿手前のギリギリまでバラックが連なっているが、その横っちょの一画もやはり同様にバラック建築がこれでもかと密集している。これらの建物の多くは既に人が住んでいる気配もなく、実質廃屋同然のようだ。
戦後、全国的に神社や寺の境内が地主の善意でもって引揚者や家を失くした被災者に開放され使われていたケースは少なくない。戦後の住宅難があってこのような生活空間が出来上がったのだろうと想像するが、正直ここまでの密度の神社境内バラック村は一寸島神社を置いて他にない。
ちなみに「一寸島神社」と書いて「いつくしまじんじゃ」と読むそうだが、境内には「厳島神社」の表記もありどちらが正しいのか分からない。