山口県光市は瀬戸内海に面した人口約5万の街で、戦前は旧海軍工廠があり、戦後は新日鐵住金の企業城下町として栄えてきた。江戸時代から風待ち港としての歴史を誇る室積港に近い室積沖田地区「新日本製鐵新沖田アパート」が立ち並んでいた。この社宅は老朽化を理由に2012年中に解体されて無くなったが、その直前に現地を訪れる機会があった。この社宅の7号棟の一室で1999年に「光市母子殺害事件」が発生、何の落ち度もない若い主婦と子供の命が奪われた出来事だった。
事件の不条理かつ凄惨さに加え、加害者が当時18歳だった為、この事件は社会的に大きく注目され、唯一残された夫は「犯罪被害者の権利確立」を世に訴える事となり、これを機に少年法厳罰化を求める動きと死刑制度反対の人権派弁護士のトンデモ主張がぶつかり合い何とも酷い泥仕合を繰り広げてきたのは周知の通り。