JR常磐線松戸駅西口から徒歩10分弱歩いた江戸川堤防沿いの一画、ここにかつて「平潟遊郭」という遊里が存在していた。江戸時代に江戸川水運で栄えた当地に勃興した飯盛旅籠がルーツとされる古い遊郭だったが、戦後の売防法施行後に歴史は潰え、平潟遊郭にあった妓楼は学生の下宿などに転用されていたという。
しかし今訪れるとそれらの妓楼も姿を消し、マンションやアパートが立ち並ぶ何の変哲も無い街並みに変わっている。往時の面影を残すのは一際大きな枝垂れ柳にモダンなデザインの石の街灯、そして遊女の信仰を得ていた水神宮に置かれた「九十九楼」の屋号が記された天水桶、その向かいの遊女の投げ込み寺とされた「来迎寺」などである。それと何の因果かこの遊郭跡の土地には朝鮮総連の「東葛同胞生活相談総合センター」の建物がある。