向島五丁目と東向島一丁目の境目に伸びる「鳩の街通り商店街」の途中の角を折れると、路地裏にひっそり残る赤線地帯だった時代のカフェー建築の数々…ここは戦後に玉の井から焼け出された業者が移転してきており、終戦直後の一時期には進駐軍相手の慰安施設「RAA」として開かれたものの、病気の蔓延を理由に米兵の立入が禁じられ、日本人向けの特殊飲食街として売防法施行の昭和33（1958）年まで大いに栄えた。
2011年の東日本大震災前までは結構な数のカフェー建築が住宅に転用されながらも使われたり、または廃屋のまま放置されていたが、震災後数年でめっきり解体されたものが多く、かなりのカフェー建築が失われた。そのうちの一軒には米兵向けに英語で書かれた「OFF LIMITS」の文字も残されていた。
