朝霞・南栄通り

朝霞市

陸上自衛隊朝霞駐屯地から国道254号を隔てたすぐ北側に並行する「南栄通り」は戦後の一時期、米軍基地「キャンプ・ドレイク」の米兵を相手にした盛り場が勃興し、不夜城の如き姿を見せていたという。「埼玉の上海」と形容されたかつて盛り場には米兵相手のパンパンガールや有象無象のお尋ね者が跋扈する無法地帯で、治安悪化のあまり昭和22(1947)年には新たに朝霞警察署が建設された。キャンプ・ドレイクの大部分は昭和49(1974)年に返還され、今となっては盛り場の面影すら無くなっている。

しかし朝霞駅南口から南栄通りで突き当たるT字路「栄町四丁目交差点」付近に古びた盛り場の残骸が長らく見られた。いずれも粗末なバラック建てで、普通の飲食店に転用されていたが、一部の建物には「Playmate」という英字の看板の跡がくっきりと残っていた。さらに交差点の突き当たりには「丸登商店」という古びた個人商店があり、ここは以前南栄通りにあったバーに氷を卸していた店でもあり、個性的な二代目が自筆の張り紙を大量に貼り付けては食料品からゲームコーナーまで何でも屋状態で営業していた。そしてその東側にあるガソリンスタンドに隣接した戸建住宅群となっている土地も、その昔「朝霞ショー劇場」というストリップ劇場があった。

2017年6月現在、栄町四丁目交差点にあった飲食店の建物は一軒を残して全て解体され、丸登商店も2017年3月末で廃業してしまった。この場所にかつてどんな日常が繰り広げられていたか、今の住民の多くは知る由もない。

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