長崎市街地から南に4キロ離れた「戸町」。長崎港を跨ぐ女神大橋の足元に広がる街で、造船の街・長崎を象徴するかのように、この街には中小の造船業者がひしめき合うインダストリアルな風景が今も見られる。
この場所に「鶴海遊郭」という遊里があったという話を聞いて見に来たのだが、有名な丸山遊郭とは違い、造船業のオッチャン達を相手にしていた大衆的な遊郭で、明治20(1887)年から開かれ、昭和の始め頃の最盛期には端島(軍艦島)勤めの炭坑夫もここで遊んでいったという。
現在は色街の灯も消え、閑静な海沿いの下町という他無い風景に変わっているが、遊郭時代の立派な三階楼が未だに見られ、往時の繁栄を偲ばせる。