神戸の中心繁華街は現在では三宮周辺に移っているが、元はと言えばこちら新開地周辺が代表的な繁華街だった。神戸高速鉄道新開地駅を降りて地上に出るとその目の前を南北にアーケード街が貫いている。これが新開地商店街である。湊川公園に隣接する一丁目から浜側の六丁目まで約800メートルあるうちの一～三丁目がアーケード街になっている。
戦後に神戸の市街地は三宮に徐々に取って代わられ、昭和30年代以降、市役所の三宮移転を契機に新開地は寂れる一方となり、残ったのは港湾労働者を主とする労務者のオッチャン達ばかりであった。娯楽の中心だった新開地だけに映画や大衆演劇場も多かったが、それも下品なネオンサインを轟かせるパチンコ屋に代わり、隣の福原町は遊郭廃止後にはお風呂屋さん街に代わる。
そんな街のメインストリートとなっている新開地一丁目及び二丁目商店街を歩くと、街を闊歩するのは大抵高齢者かオッサンかのどちらかだ。溜まり場となっている安呑み酒場や大衆食堂、立ち食いうどん屋が軒を連ね、頭上のアーケードには「ええとこ ええとこ 新開地一丁目」の大看板。でかいキリスト看板が掛かっていた湊川伝道館。アーケードを外れるとドヤの名残りか古い佇まいの安宿が何軒か残る。福原町に至る路地には乙な焼き鳥屋の建物もあり。
