大津浪記念碑

宮古市

岩手県宮古市の沖合に浮かぶ「重茂半島」は三陸海岸随一の秘境とも言われる土地で、本州最東端の地であるトドヶ崎がある事で知られる。そのトドヶ崎へ向かう道中に姉吉という隔絶された集落があり、宮古市街地からここへ向かうには片道1時間で約25キロ超の道のり、ひたすら狭隘な山道を抜ける必要がある。姉吉集落は2011年の震災前で僅か11世帯34人しか居ない小さな集落だが、漁業を営んでいながら集落は海岸線から大きく離れた内陸部にあり、民家の軒先には漁船が置かれ毎回漁の際は車で牽引して港まで持って行っている。集落から海岸に降りると、ちょうど集落が途切れた辺りに立っているのがこの「大津浪記念碑」だ。

明治29(1896)年と昭和8(1933)年に相次ぎ当地を襲った三陸大津波で姉吉集落の住民は殆ど全滅、生き残った住民によりこの石碑が建立され、その碑文には「此処より下に家を建てるな」と刻み込まれている。東日本大震災の津波でも被害を受けたが、この石碑の言い伝えを守った集落の住民は誰一人亡くなる事はなかった。もっとも、僻地にある姉吉地区は過疎化が進み、集落の人口は30人を切ったそうだ。

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