実は埼玉と長野が県境を接していた事自体、この「旧中津川林道」の存在を知らなければ気づく事も無かったであろう。埼玉県秩父市旧大滝村最奥の集落、中津川地区から未舗装のダートの峠道を延々と18キロもの間登り続けると、外国人研修生が沢山レタス栽培に励んでいる「日本一のレタス村」長野県南佐久郡川上村と境を接する標高1740メートルの三国峠に辿り着く事ができる。
この林道は昭和41(1966)年に開通した国有林道で、当初は有料となっていたが昭和57(1982)年に無料開放されてからは大滝村の村道、現在は秩父市の「市道大滝幹線17号線」が正式名称であるが、旧称の「中津川林道」と呼ばれるのが一般的。峠の手前で特に悪路っぷりが酷くなり、オーバーハング状態の荒々しい岩の崖がせり出す場所や砂利道どころか岩がゴロゴロ転がりいつタイヤパンクしてもおかしくないような道となる。
かつて雁坂トンネルなどが無かった時代に中央道の渋滞を避ける為にこの道をたまたま通りがかってドエライ目に遭うドライバーが居たという。生きた心地がしない事必至であるが、オフロードバイク愛好家の間では人気が高い悪路だ。無論、そういった苛酷なドライブルート故に夜間・冬季は通行止めとなる。なお、川上村側では県道昇格(つまりもっとマシな道路にしてくれという意味)を願う看板が立っている。