港新地

大阪市港区

今なお現役の「大阪五新地」とも呼ばれる飛田・松島・今里・滝井・信太山の五ヶ所の新地だけでなく、大阪にはまだまだ知られざる「幻の新地」と化した箇所が存在する。その一つが大阪市港区夕凪にあった「港新地」。地下鉄中央線朝潮橋駅からも近い、一見するとしょぼくれた住宅地にしか見えない場所だが、ここに昭和初期に開かれた遊郭があったというのだ。

元々は大正時代に松島遊郭(現・松島新地)が周辺の市街化に伴う風紀上の理由で移転話が持ち上がっていた中でその移転先候補の一つに挙がっていた場所だったともされるが、この事を巡り政治家の絡んだ一大汚職事件(松島遊郭疑獄)が発生しているが、松島遊郭の移転計画は結局のところ無いまま、新しく港新地が開かれた。

港新地のあった当地を含む港区一帯は大阪大空襲により壊滅、戦後焼け野原となった土地に赤線地帯として勃興し、非合法のちょんの間地帯として栄える事となったが例外なく昭和33(1958)年の売防法施行で一斉廃業、という流れになっている。

で、現在どうなっているかというと、夕凪二丁目の三津神社東側の通りを中心に僅かに転業旅館が見られる程度で、その歴史をはっきり留めるような遺構を見つける事は出来なかった。しかし下町地域らしく場末感放つボロいスナックがやたらと多かったりするあたり、脈々と街の歴史が受け継がれている事を示しているのだろうか。

大阪市港区 朝潮橋

大阪市港区 朝潮橋

大阪市港区 朝潮橋

大阪市港区 朝潮橋

大阪市港区 朝潮橋

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