高円寺、阿佐ヶ谷と並んで中央線沿線で強烈なサブカル臭を撒き散らす街「西荻窪」、この街のヒッピーで反権力的な文化の香りに惹かれてやってくる人々の精神的な支柱の一つとなっているのが西荻窪駅近くにあるこちらの「ほびっと村」である。外観は蔦まみれの古びたビルだが、一階にあるオーガニック・有機野菜を専門に扱う八百屋「長本兄弟商会」の経営者が中心となって昭和51（1976）年に開かれた「共同体（コミューン）」である。
ビルの二階にある「バルタザール」もやはりオーガニック・有機野菜を使ったヘルシーランチが頂ける無国籍料理店で、所謂ナチュラリスト高樹沙耶的客層のマダムがひっそり飯を食うような場所である（西荻窪には同様のオーガニック系カフェ飯屋が妙に多い）、そして三階部分には精神世界・ヒッピー系の書籍を専門に扱う「ナワプラサード」という本屋とフリースクール「ほびっと村学校」が入っている。ほとほと人生に疲れた人が中央線に飛び込まず、西荻窪駅で降りてこっそり足を踏み入れそうになる、そんなカウンターカルチャーの塊のようなビルなのだ。
