中国地方最大の繁華街である流川の東の外れに弥生町、西平塚町といった地域があり、ここまで行くとネオン街の喧騒からはやや外れた趣きがあるのだが、実はここが戦後まで続いていた広島市二大遊郭のうちの一つ「東遊郭」の跡である。この場所は昭和33(1958)年の売防法施行後は表向きにはそういう営業がされていない事になっているが、今もこの界隈の夜道を歩いていると暗がりから現れる謎の客引きババア達。何のご職業をされているのか想像にお任せしますがここいらでは地球の中心で燃え盛っているような出来事が秘密裏に行われているそうです。
そんな如何わしさも残る旧東遊郭の一画に遊郭時代の妓楼の建物がそのまま使われた「一楽旅館」という風情の良い旅館が一軒あり、ここで一泊させてもらう機会があった。当時はなんと一泊一人2500円という低料金で泊まれたのだが、旧遊郭時代を知る大女将のお婆さんが健在なうちは旅館を続けたい、という意向で続けているとお話を伺った。
