元祖平壌冷麺屋

神戸市

ぼっかけとケミカルシューズの街「神戸市長田区」には市内屈指の在日コリアンコミュニティも築かれ、神戸屈指のコリアタウンとしての側面を持っている。新長田駅周辺の街並みを見ていると多くの韓国料理屋や焼肉屋がある一方で「元祖平壌冷麺屋」という屋号を掲げる冷麺の専門店も。平壌と言えば紛うこともない北朝鮮の首都である、あの平壌。確かに「平壌冷麺」は現在も北朝鮮旅行に訪れる外国人観光客も食べる有名な料理であるが、2002年の日朝首脳会談で当時の金正日総書記が日本人の拉致を認めて以降、北朝鮮への風当たりの強い日本社会で「平壌」の地名を掲げて商売をするのは並大抵の事ではない。

しかし神戸市内には「元祖平壌冷麺屋」の系列店が長田区を中心に三店舗あり(以前は三宮や青木、東京の東麻布にもあったがいずれも閉店している模様)、その本店はJR新長田駅北側、長田郵便局向かいにある。2007年に系列店である「川西店」(長田区細田町三丁目)でここの冷麺を昼食にしたことがあった。蕎麦粉と緑豆粉を用いた黒い細麺が特徴的らしい平壌冷麺とは違って、白い中太麺に黄色味がかった透き通ったスープはその見た目だけでは同じ北朝鮮の咸興冷麺をルーツとした岩手県の在日コリアンが考案した「盛岡冷麺」に近い印象がある。

ちなみにこの元祖平壌冷麺屋、冷麺だけかと思ったら何故か「味噌煮込みうどん」を名物として売り込んでいるらしく店の表に大きくアピールされている。特に寒い冬場は冷麺ではなくこちらをもう一つの看板メニューにしているのだろうか。本店、川西店、久保町店といずれの店舗も新長田駅周辺に点在していて、地元の在日コリアンに世代を超えて親しまれる味となっているようだ。

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